日本人で最初にチョコレートを食べたのは誰?

 

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中米から世界に広がったチョコレートですが、日本人が最初に口にしたのは一体いつだったのでしょうか。

こんな疑問が思い浮かんだので、本やネットを使って色々と調べてみることにしました。

最初にチョコレートを口にした日本人

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外国との貿易の拠点となった長崎・出島の現在の姿

日本におけるチョコレートの記述は幕末の長崎に関係していて、2つあります。長崎は外国と貿易が行われていたため、チョコレートを入手できたのでしょう。

なお、この時代はまだ板チョコのように固形の状態で食べるチョコレートは発明されていないので、お湯や牛乳に溶かして飲むものでした。

ただ、この頃の日本は牛乳を飲む文化はなかったので、熱湯で溶かしたものと思われます。

長崎での記述

1797年に長崎の丸山町・寄合町の記録「寄合町諸事書上控え帳」に遊女がオランダ人からもらったものとして、「しょくらあと6つ」を届けたという記述があります。

当時のオランダはベネズエラのカカオ輸出に深く関わっていて、遊女さんはもしかしたらベネズエラ産のカカオ豆から作ったチョコレートをもらったのかもしれません。

京都の侍医・廣川獬(ひろかわかい)の記述

廣川氏は京都の華頂宮家の侍医で、チョコレートに触れたのは長崎に遊学をしていた頃です。

遊学期間は1790年と1795年の2回で、1803年に長崎時代のことを書いた長崎見聞録を発行しました。

 

その中に、

 

しょくらとをは。紅毛人の持渡る腎薬にて。形獣角のごとく。色阿泉薬に似たり。其味ひは淡なり。其の製は分暁ならざるなり。服用先熱湯を拵へ。さてかのしょくらとを三分を削り入れ、次に鶏子一個。砂糖少し。此の三味茶筅にて。茶をたつるごとく。よくよく調和すれば。蟹眼でる也。これを服用すべし。

 

現代語に訳すと、

 

チョコレートはオランダ人が持つ薬で形は獣の角のようだ。色は阿泉薬(生薬のこと)に似ていて、味は淡白だ。作り方は熱湯を用意し、そこに1センチに削ったチョコレート、卵1個、砂糖少しを入れてよく混ぜる。

 

蒸すと、茶わん蒸しができそうなレシピです。

薬と書かれていますが、この時代のチョコレートは嗜好品と薬の両面を持っていた存在でした。

チョコレートを最初に食べた日本人政治家の公式記録

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公卿から政治家になった岩倉具視は全権大使として1871年岩倉具視使節団を率い、欧米を訪問します。その時、フランスでチョコレート工場を視察し、その時に食べました。

岩倉具視使節団の記録は「特命全権大使 米欧回覧実記」にまとめられています。

 

米欧回覧実記の第三編にて、

 

銀紙に包み、表に石版の彩画などを張りて其(それ)美を為す。極上品の菓子なり。比の菓子は人の血液に滋養を与え、精神を補う効あり

 

とチョコレートが紹介されており、現代語風に訳すと、

 

アルミ紙で包まれ、表面には美しい絵が描かれた紙が張られている。とてもおいしい菓子だ。この菓子は血液を元気にして、精神を回復させる効果がある

  

といった意味合いだと思います。 

もしかしたら食べたかもしれない日本人

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チョコを食べたかもしれない支倉常長

1613年に伊達藩はスペインとの通商交渉のため、支倉常長などを慶長遣欧使節団(けいちょうけんおうしせつだん)として派遣しました。

当時、スペインではチョコレートが飲まれていて、支倉常長らがキリストのカトリック教徒に改修した際、チョコレートを口にしたという逸話がネット上にあります。

しかし、本当にチョコレートを口にしたのかどうかの記録は存在していません。

ただ、この頃の宮廷にはチョコレートの専門職があった上に、高価なチョコレートを客に供することが経済力の証でもあったので可能性は否定できません。

どんな気持ちでチョコレートを食べたのだろう

チョコレートを日本で最初に食べたのは長崎の遊女など外国と接点がある人々で、嗜好品と薬の両方の側面を持っていて、この頃はまだ飲み物として楽しむのが主流でした。

現在のような固形のチョコレートを食べた最初の記録は政治家の岩倉具視がフランスでチョコレート工場を視察した時のものです。

初めてチョコレートを見て、食べた人々はどのような感想を抱いたのでしょう。茶色い物体を美しいと思ったのかこんなものを食べるのかと驚いたのかもしれません。

できるなら、当時の日本人の反応を見てみたいものです。 

参考文献

「チョコレートの手引き」蕪木祐介・著

「チョコレートの世界史」武田尚子・著